時間をかけて作った表を、うっかり保存せずに閉じてしまった。
あるいは、残しておきたかった内容を消したまま上書き保存してしまった。
Excelを使っていると、こうした失敗は誰にでも起こり得ます。
慌ててしまいがちですが、Excelには作業中のブックを一定の間隔で控えておく仕組みがあります。
すぐにあきらめず、正しい場所を順に探せば、取り戻せる可能性は十分にあります。
反対に、焦って開いたり閉じたりを繰り返すと、手がかりを見落としやすくなります。
この記事では、保存せずに閉じたブックを復元するやり方を、状況ごとに順を追って紹介します。
ブックが消える原因を、保存し忘れ・強制終了・上書き保存の3つに分けて解説します。
それぞれの対処法を具体例で取り上げ、最後に同じ失敗を防ぐための設定もまとめます。
なお、ファイルそのものが壊れて開けない場合は、ここで紹介する手順とは対処法が異なります。
破損したファイルを修復するやり方は、ファイルが開けないときの対処法を解説した記事で紹介しています。
保存せずに閉じたブックは復元できる?自動回復の仕組みと状況別のやり方
Excelには、作業中のブックを一定の間隔で控えておく「自動回復」という仕組みがあります。
初期設定では10分ごとに回復用のデータが作られ、保存せずに閉じたときや強制終了したときの手がかりになります。
ただし、戻せるのは最後に控えが作られた時点までで、直前の作業まで戻るとは限りません。
どこを探せばよいかは、ブックが消えた状況によって変わります。
状況ごとの確認場所は、次のとおりです。
| 状況 | 確認する場所 | 解説している章 |
|---|---|---|
| 一度保存したブックを、保存せずに閉じた | 「ファイル」タブ→「情報」→「ブックの管理」 | 原因① |
| 新しく作ったブックを、一度も保存せずに閉じた | 「ブックの管理」→「保存されていないブックの回復」 | 原因① |
| Excelが強制終了した、パソコンが止まった | 再起動後に出る「ドキュメントの回復」 | 原因② |
| 間違えた内容のまま上書き保存した | 「元に戻す」、OneDriveのブックならバージョン履歴 | 原因③ |
表の左の列から自分の状況を選び、該当する章へ進んでください。
どの状況でも、気づいた時点で余計な操作を重ねないことが大切です。
自動回復の設定が有効になっているか確かめるやり方
取り戻せるかどうかは、自動回復の設定がオンになっているかで決まります。
設定はExcel全体で共通のため、どのブックからでも確かめられます。
手順は、次のとおりです。
1. 「ファイル」タブをクリックし、「オプション」を選ぶ(見当たらない場合は「その他」の中にある)
2. 左側の「保存」をクリックする
3. 「ブックの保存」欄の「次の間隔で自動回復用データを保存する」にチェックが入っているか確かめる
4. 「保存しないで終了する場合、最後に自動回復されたバージョンを残す」にもチェックが入っているか確かめる
5. 「OK」をクリックして画面を閉じる
2つの項目は、どちらもチェックが入っていないと、保存せずに閉じたときの控えが残らないとされています。
たとえば、間隔の欄が初期設定の10のままなら、最大で10分ぶんの作業が失われる計算です。
入力の多い作業をする場合は、5分などに短くしておくと、失う作業を減らせます。
OneDriveのブックはバージョン履歴で守られる|自動保存との関係
Microsoft 365のExcelには、「自動保存」という別の仕組みもあります。
OneDriveやSharePointに保存したブックでは初期設定でオンになり、数秒ごとに保存されます。
そのため、閉じたときに作業が消えてしまう心配はほとんどありません。
その代わり、間違えた内容もすぐに保存されるため、戻すときはバージョン履歴を使います。
| 仕組み | 主な対象 | 保存の間隔 | 戻すときに使う場所 |
|---|---|---|---|
| 自動回復 | パソコンなどに保存したブック | 初期設定は10分ごと | 「ブックの管理」「ドキュメントの回復」 |
| 自動保存 | OneDrive・SharePointに保存したブック | 数秒ごと | バージョン履歴 |
自分のブックがどちらに当たるかは、画面左上の「自動保存」のスイッチで見分けられます。
スイッチがオンなら、原因③で紹介するバージョン履歴が使えます。
上書き保存する前に気をつけたいこと
実務では、回復したデータを開いたら、まず中身を確かめてから保存するのが基本です。
元のブックと回復したデータのどちらが新しいかを確かめないまま保存すると、古い内容で上書きしてしまうことがあります。
迷った場合は、回復したデータを別の名前で保存しておくと、あとから見比べられます。
初心者がつまずきやすいのは、復元できる期間に限りがある点です。
自動回復で作られた控えは、数日で削除されるとされています。
消えたことに気づいたら、できるだけ早く探しましょう。
OneDriveに保存し直す手順や、自動保存のスイッチを確かめる方法は、ブックの共有・共同編集の記事で紹介しています。
共同編集を使う予定がなくても、自動保存の仕組みを知る参考になります。
ブックが消える原因①|保存せずに閉じたブックを復元するやり方
いちばん多いのは、閉じるときの確認画面で「保存しない」を押してしまうケースです。
別のウィンドウを閉じるつもりで、作業中のExcelを閉じてしまうこともあります。
この場合、そのブックを一度でも保存したことがあるかどうかで、探す場所が変わります。
一度保存したブックは「ブックの管理」から戻して上書き保存する
たとえば、「月次報告.xlsx」を17時に開いて編集し、17時40分に保存せずに閉じたとします。
このように名前を付けて保存したことのあるブックは、元のファイルから回復データを開けます。
手順は、次のとおりです。
1. 閉じてしまった「月次報告.xlsx」を開く
2. 「ファイル」タブをクリックし、「情報」を選ぶ
3. 「ブックの管理」欄に「(保存しないで終了)」と付いた日時の項目があれば、クリックする
4. 開いたブックの上に「復元された未保存のファイル」と表示されたら、内容を確かめる
5. 「復元」をクリックし、確認の画面で「OK」を押す
手順5で「復元」を押すと、元のブックがこの内容で上書き保存されます。
回復データは読み取り専用で開くため、確かめている間に元のブックが書き換わることはありません。
一覧に出る日時は、最後に控えが作られた時刻を表しています。
たとえば一覧の日時が17時32分なら、そこから閉じた17時40分までの8分間の作業は含まれません。
足りない部分は、手作業で入力し直す必要があります。
それでも、17時からの作業をすべてやり直すより、負担はずっと小さく済みます。
新規ブックは自動回復データを「保存されていないブックの回復」から開く
一度も保存していない新規ブックには、元のファイルがありません。
そのため、Excelの中にある専用の一覧から回復データを探します。
たとえば、新しいブックで来客リストを作っていて、保存せずに閉じた場合の手順は次のとおりです。
1. Excelで任意のブックを開き、「ファイル」タブをクリックして「情報」を選ぶ
2. 「ブックの管理」をクリックし、「保存されていないブックの回復」を選ぶ
3. 表示された一覧から、作業していた日時に近いファイルを選んで「開く」をクリックする
4. 「復元された未保存のファイル」と表示されたら、「名前を付けて保存」をクリックして保存する
一覧には、拡張子が.xlsbのファイルが並びます。
複数ある場合は、更新日時を手がかりに目的のファイルを選びます。
Excelのバージョンによっては、「ファイル」タブの「開く」の画面の下にも、同じ名前のボタンがあります。
回復データが見つからないときに確かめること|上書き保存の前に別名で残す
一覧に何も表示されない場合は、回復データがまだ作られていなかった可能性があります。
たとえば、ブックを開いてから10分たたないうちに閉じると、控えが一度も作られていないことがあります。
自動回復の設定がオフになっていた場合や、数日たって削除された場合も、一覧には出ません。
実務では、回復データが見つかったら、まず別の名前で保存してから中身を見比べると安全です。
「月次報告_回復.xlsx」のように名前を変えておけば、元のブックを残したまま確認できます。
内容に問題がなければ、あとから元のブックに上書き保存して整理します。
初心者がつまずきやすいのは、新規ブックの控えを「ブックの管理」の一覧で探してしまうケースです。
元のファイルがない新規ブックは、この一覧には出てきません。
必ず「保存されていないブックの回復」の画面を開いて探しましょう。
こうした失敗を防ぐいちばんの方法は、作業の区切りごとに保存することです。
上書き保存はCtrl+Sキーで手早くできるため、定番のショートカットキーとあわせて覚えておくと役立ちます。
ブックが消える原因②|Excelが強制終了したときの復元のやり方
作業中にExcelが固まって強制終了したり、停電でパソコンが止まったりすることがあります。
Windowsの更新プログラムによって、パソコンが自動で再起動されてしまうケースもあります。
このように正常に閉じられなかった場合も、自動回復のデータが残っていれば作業を取り戻せます。
再起動後の「ドキュメントの回復」で自動回復データを開く
強制終了のあとにExcelを起動し直すと、画面の左側に「ドキュメントの回復」という一覧が表示されることがあります。
ここには、自動回復で控えておいたブックが並びます。
手順は、次のとおりです。
1. Excelを起動し直す
2. 画面の左側に「ドキュメントの回復」が表示されたら、一覧の一番上の項目をクリックする
3. 開いたブックの内容を確かめる
4. 「ファイル」タブの「名前を付けて保存」で、別の名前を付けて保存する
一覧の一番上が、最も新しく控えられたデータです。
たとえば、「出張精算.xlsx」を編集中の14時5分に、パソコンが再起動したとします。
起動し直したExcelの一覧に「出張精算.xlsx」があれば、それを開いて中身を確かめます。
「ドキュメントの回復」が表示されない場合もあります。
その場合は、原因①と同じく「ブックの管理」や「保存されていないブックの回復」を確かめてください。
強制終了の前に一度保存していたブックなら、元のファイルを開いて「ブックの管理」を見るのが近道です。
回復したブックは上書き保存せず別名で保存して見比べる
回復したブックは、元のファイルと同じ名前で上書き保存しないほうが安全です。
回復データは最後に控えが作られた時点の内容のため、元のファイルのほうが新しい場合もあるからです。
いったん別名で保存し、2つのブックを並べて見比べてから、残す方を決めましょう。
たとえば、「出張精算.xlsx」を13時50分に上書き保存し、14時5分に強制終了したとします。
回復データが13時45分の控えなら、13時50分に保存した元のファイルのほうが新しい内容です。
この場合は、回復データではなく元のファイルを使います。
強制終了が続くなら自動回復の間隔を短くしておく
実務では、同じブックで何度も強制終了が起きる場合、自動回復の間隔を短くしておくと被害を減らせます。
原因①で紹介した設定画面で、間隔を5分などに変えておきます。
ただし、間隔を短くしすぎると、保存のたびに動作が重くなることがあります。
初心者がつまずきやすいのは、回復の一覧を確かめないまま閉じてしまうケースです。
一覧を閉じる前に、必要なブックをすべて開いて保存したかを確かめましょう。
強制終了が繰り返される場合は、ブック自体が重くなっていることも考えられます。
Excelが重い原因と、ファイルを軽くするやり方は、別の記事で詳しく紹介しています。
ブックが消える原因③|上書き保存してしまったときに保存前に戻すやり方
上書き保存は、元のファイルを新しい内容で置き換える操作です。
そのため、間違えた内容のまま保存すると、通常は保存前の内容に戻せません。
ただし、ブックを閉じる前か、OneDriveに保存したブックであれば、戻せる可能性があります。
閉じる前なら「元に戻す」と自動回復の一覧を試す
上書き保存の直後でブックをまだ閉じていなければ、Ctrl+Zキーで保存前の操作を取り消せる場合があります。
取り消せたら、もう一度上書き保存すれば、元の内容に戻ります。
戻せない場合でも、ブックはまだ閉じずに次の方法を試します。
「ファイル」タブの「情報」で、「ブックの管理」欄に自動回復で控えた時刻の一覧が出ていることがあります。
その場合は、上書き保存する前の時刻の項目を右クリックし、「バージョンを開く」を選びます。
開いた内容を確かめ、必要な部分をコピーしたり、別の名前で保存したりして取り出します。
OneDriveのブックはバージョン履歴から保存前に戻す
OneDriveやSharePointに保存したブックでは、編集中も一定の間隔で以前の版がバージョン履歴に残ります。
たとえば、OneDriveにある「見積書.xlsx」の表が次のとおりだったとします。
| A | B | |
|---|---|---|
| 1 | 品目 | 金額 |
| 2 | ノートパソコン | 128000 |
| 3 | モニター | 36000 |
| 4 | キーボード | 9000 |
| 5 | 合計 |
A列が品目、B列が各品目の金額で、5行目が合計の行です。
セルB5には、次の数式が入っています。
=SUM(B2:B4)
B5には173000と表示され、3つの品目の金額を合計した見積額を表しています。
ここで、誤ってセルB3のモニターの金額を消し、そのまま自動保存されたとします。
すると、B5の合計は128000と9000を足した137000に変わってしまいます。
消す前の版に戻す手順は、次のとおりです。
1. 画面上部のファイル名をクリックし、「バージョン履歴」を選ぶ(「ファイル」タブの「情報」からも開ける)
2. 一覧から、金額を消す前の日時の版を選び、「バージョンを開く」をクリックする
3. 別のウィンドウで開いた版で、B3が36000、B5が173000になっていることを確かめる
4. 「復元」をクリックして、現在のブックをこの版に置き換える
個人用のMicrosoftアカウントでは、最新の25個の版までさかのぼれるとされています。
上書き保存に備えてバックアップファイルを作成しておく
パソコンに保存したブックでは、バージョン履歴が使えません。
大事なブックは、上書き保存のたびに1つ前の状態を残す「バックアップファイルを作成する」を設定しておくと安心です。
手順は、次のとおりです。
1. 「ファイル」タブの「名前を付けて保存」を選び、「参照」をクリックする
2. 「名前を付けて保存」の画面で、右下の「ツール」をクリックし、「全般オプション」を選ぶ
3. 「バックアップファイルを作成する」にチェックを入れ、「OK」をクリックする
4. 「保存」をクリックし、上書きを確認する画面が出たら「はい」を選ぶ
これで、同じフォルダーに「(ファイル名)のバックアップ.xlk」というファイルが作られます。
このファイルを開くと、1つ前に保存した状態の内容を確かめられます。
開くときに確認の画面が出た場合は、「はい」を選びます。
実務では、この設定はブックごとに行う必要があるため、毎月使う大事なブックから順に設定しておきます。
初心者がつまずきやすいのは、間違えたまま上書き保存を2回続けると、バックアップの中身も間違えた状態に置き換わる点です。
気づいたら、上書き保存を重ねる前に、バックアップのファイルを別の場所にコピーしておきましょう。
このほか、Windowsのファイル履歴を設定しているパソコンでは、ファイルを以前の版に戻せることもあります。
ファイルを右クリックして「プロパティ」を開き、「以前のバージョン」のタブを確かめます。
ファイル履歴は、あらかじめ有効にしていないと使えない点に注意が必要です。
「全般オプション」の画面は、ファイルに書き込みパスワードを付けるときにも使います。
パスワードの設定や解除のやり方は、別の記事で紹介しています。
保存せずに閉じたときの対処法まとめ|まず閉じずに回復データを探す
保存せずに閉じたブックや、上書き保存してしまったブックも、状況に合った場所を探せば取り戻せることがあります。
大切なのは、気づいた時点で慌てて操作を重ねず、回復データの有無を確かめることです。
最後に、この記事の要点を整理します。
- 一度保存したことのあるブックなら、元のファイルを開いて「ブックの管理」を確かめる
- 新規ブックなら、「保存されていないブックの回復」から自動回復のデータを開く
- 強制終了したら、再起動後の「ドキュメントの回復」を確かめ、別の名前で保存する
- 上書き保存した直後は、閉じる前に「元に戻す」を試し、OneDriveのブックならバージョン履歴から戻す
- 自動回復の2つのチェックと間隔を、今のうちに確かめておく
どの方法も、戻せるのは最後に控えが作られた時点までです。
日ごろからCtrl+Sキーでこまめに保存しておくと、失う作業を最小限にできます。
大事なブックは、OneDriveに置くか、バックアップファイルを作る設定にしておくと安心です。
同じ失敗を繰り返さないための備えとして、ぜひ一度設定を見直してみてください。
Excelには、保存や復元のほかにも、仕事に役立つ機能が数多くあります。
どんな機能があるかを一覧で確かめたい場合は、Excelでできること一覧の記事を参考にしてください。







