【Excel初心者向け】Excelが重い原因と対処法|動作が遅いファイルを軽くするやり方

Excelで作業していると、セルに入力するたびに画面が固まったり、スクロールがカクついたりすることがあります。
ファイルを開くだけで数十秒かかり、「応答なし」と表示されるケースもあります。
データ量はそれほど多くないのに、なぜかExcelが重いと感じる方も多いのではないでしょうか。

動作が遅くなる原因は、パソコンの性能だけではありません。
多くの場合、ファイルの中に計算や表示の負担になるものが少しずつたまっています。
使っていない範囲への書式設定や、再計算の多い数式、サイズの大きい画像などが代表的です。

原因によって、対処のやり方は大きく変わります。
書式が原因なのに数式を消しても、動作はほとんど改善しません。
まず「どの種類の重さなのか」を見分けることが、遠回りしないためのポイントです。

この記事では、Excelファイルが重い原因を3つに分けて整理します。
あわせて、原因の見分け方と、ファイルサイズを小さくして動作を軽くする具体的なやり方も紹介します。
どれも特別な知識は必要なく、初心者の方でも順番に試せる内容です。

Excelの重さには、数式の再計算が大きく関わっています。
数式の入力ルールや仕組みの基本から確認したい方は、次の記事もあわせて参考にしてください。

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Excelが重いとは?動作が遅くなる原因の見分け方

Excelが重いとは、入力や保存、スクロールなどの操作に対して反応が遅れる状態のことです。
重さの正体は大きく分けて、計算の負担とファイルサイズの負担の2種類があります。
どちらに当てはまるかを先に確認すると、原因の候補を絞り込めます。

入力するたびに固まる場合は、数式の再計算が負担になっている可能性が高いと考えられます。
開くときや保存するときだけ遅い場合は、ファイルサイズが大きくなっていることが多いです。
画面下部のステータスバーに「計算中」と表示されるかどうかも、判断の手がかりになります。

データ量に対してファイルサイズが大きすぎないか確認する

次のような売上一覧で考えてみます。

ABC
1日付商品売上
29月1日商品A12000
39月2日商品B8500
49月3日商品C15000

E1に次の数式を入力します。

=COUNTA(A2:A4)

E1には3と表示されます。
A2からA4までの、日付が入力されているデータの件数を数える計算です。

このデータ量なら、ファイルサイズは通常数十KB程度に収まります。
「ファイル」タブの「情報」を開き、右側のプロパティにあるサイズが数MB以上なら異常のサインです。
データ以外の書式や画像が、ファイルの中にたまっていると考えられます。

入力のたびに固まるなら数式の再計算を疑う

次は、前日との売上の差を求める表です。

ABC
1日付売上前日比
29月1日12000
39月2日13500

C3に次の数式を入力します。

=B3-B2

C3には1500と表示されます。
9月2日の売上13500円から、前日の12000円を引いた差額です。

Excelは、B2やB3の値を変えるたびにC3を自動で計算し直します。
この表が1万行あり、各行に数式が入っていれば、1回の入力で大量の再計算が発生します。

入力のたびに固まる場合は、後述する「計算方法の設定」を一時的に手動へ切り替えてみます。
それで動作が軽くなれば、数式の再計算が原因だと切り分けられます。

最終セルの位置で書式の広がりを確認する

実務では、ファイルを受け取った時点ですでに重いこともあります。
その場合は、Ctrl+Endキーを押して、Excelが「使用中」と認識している最後のセルを確認します。
C4で止まれば問題ありませんが、H10000のように離れたセルへ移動する場合は、不要な範囲まで書式が残っています。

初心者がつまずきやすいのは、パソコンの再起動やExcelの再インストールで直そうとする点です。
原因がファイルの中にある場合、別のパソコンで開いても同じように重くなります。
まずはファイルサイズと最終セルの位置を確認し、ファイル側に原因がないかを見るのが近道です。

最終セルへの移動のように、確認作業はキー操作で行うと手早く済みます。
Ctrl+Endキーのほかにも、表の端へ移動するショートカットキーを覚えておくと、原因の調査がスムーズになります。

Excelが重い原因①|使っていない範囲まで書式が設定されている

1つ目の原因は、データが入っていないセルにまで書式が設定されているケースです。
罫線や塗りつぶし、条件付き書式などは、見た目に何もなくてもセルごとに情報として保存されます。
その範囲が数万セルに広がると、ファイルサイズが大きくなり、スクロールや保存が遅くなります。

広い範囲に罫線を引いてファイルサイズが大きくなる例

次のような商品一覧で考えてみます。

ABCD
1商品コード商品名単価在庫数
2P001ボールペン12035
3P002ノート18020
4P003クリアファイル9048
5P004付箋15012

後から行が増えることを見越して、A1からH10000までをまとめて選び、罫線を引いたとします。
F1に次の数式を入力すると、データの件数を確認できます。

=COUNTA(A2:A10000)

F1には4と表示されます。
A2からA10000までのうち、実際に商品コードが入っているセルの数を数えた結果です。

データは4件しかないのに、書式は約8万セルに設定されています。
6行目から10000行目までの行と、E列からH列までの列を選択し、右クリックの「削除」で取り除きます。
上書き保存してからCtrl+Endキーを押し、D5に移動すれば不要な書式は解消しています。

コピーを繰り返して条件付き書式のルールが増える例

次の表では、売上が10000以上の行に色を付ける条件付き書式を設定しています。

ABC
1日付担当売上
29月1日佐藤12000
39月2日鈴木8000
49月3日田中15000
59月4日佐藤9500

ルールの数式は次のとおりで、適用先はA2からC5までです。

=$C2>=10000

売上が10000以上の2行目と4行目に色が付きます。
C列の売上が基準以上かどうかを、行ごとに判定する処理です。

この表で行のコピーや貼り付けを繰り返すと、同じルールが細かく分かれて増えていきます。
適用先が「$A$3:$C$3」「$A$5:$C$5」のように、1行ずつ別のルールになってしまう状態です。

「ホーム」タブの「条件付き書式」から「ルールの管理」を開くと、増えたルールを一覧で確認できます。
重複したルールを削除し、適用先を1つにまとめると、表示の負担を減らせます。

実務では、他の人から引き継いだファイルほど、この種の書式がたまっている傾向があります。
行の追加やコピーが何年も繰り返されると、ルールが数百件に増えていることも珍しくありません。

初心者がつまずきやすいのは、Deleteキーでセルを消せば書式も消えると考える点です。
Deleteキーで消えるのは値だけで、罫線や条件付き書式は残ります。
書式ごと取り除きたい場合は、行や列の削除か、「ホーム」タブの「クリア」から「すべてクリア」を使います。

条件付き書式は便利な反面、ルールが増えると動作が重くなる原因にもなります。
適用先の範囲の決め方や、ルールの管理画面の見方は、次の記事で詳しく紹介しています。

Excelが重い原因②|数式や関数の再計算が多すぎる

2つ目の原因は、数式や関数の再計算に時間がかかっているケースです。
Excelは、値を1つ変更するたびに、その値を参照している数式をすべて計算し直します。
数式の数や計算の範囲が大きいほど、入力のたびに待たされる時間が長くなります。

INDIRECT関数など揮発性関数の数式で再計算が増える例

次は、月ごとの売上を合計する表です。

AB
1売上
24月320000
35月285000
46月410000
5合計

B5に次の数式を入力したとします。

=SUM(INDIRECT(“B2:B4”))

B5には1015000と表示されます。
4月から6月までの売上を合計した金額です。

INDIRECT関数は「揮発性関数」と呼ばれ、どのセルを変更しても毎回計算し直されます。
次のように直接セル範囲を指定すれば、結果は同じ1015000のまま、B2からB4が変わったときだけ計算されます。

=SUM(B2:B4)

TODAY関数、NOW関数、OFFSET関数、RAND関数も揮発性関数です。
数千行にわたって使っている場合は、直接の参照に置き換えられないか見直すと動作が軽くなります。

重複チェックのCOUNTIF関数を値にしてファイルサイズを抑える例

次の表では、商品コードの重複をチェックしています。

AB
1商品コード重複チェック
2P001
3P002
4P001
5P003

B2に次の数式を入力し、B5までコピーします。

=COUNTIF($A$2:$A$5,A2)

B2とB4には2、B3とB5には1と表示されます。
各行の商品コードが、A列の中に何件あるかを数える計算です。

この表は4行なので、比較の回数は4×4の16回で済みます。
ところが1万行になると、1万×1万で1億回の比較が発生します。

重複の確認が終わったら、B列をコピーして値だけを貼り付け直します。
「形式を選択して貼り付け」で「値」を選ぶと、数式が計算結果の数値に置き換わります。
再計算の負担がなくなり、数式の情報が消える分、ファイルサイズも小さくなります。

計算方法を手動に切り替えて数式の負荷を抑える手順

大量のデータを入力するときは、自動計算を一時的に止める方法もあります。
「数式」タブの「計算方法の設定」をクリックし、「手動」を選びます。
入力を終えたらF9キーを押すと、その時点でまとめて計算されます。

実務では、VLOOKUP関数で「A:C」のように列全体を検索範囲にした数式が、数千行にコピーされていることがあります。
検索範囲を「$A$2:$C$500」のように実際のデータ範囲に絞るだけでも、計算の負担は軽くなると考えられます。

初心者がつまずきやすいのは、手動に切り替えたまま元に戻し忘れる点です。
手動のままだと、値を変えても数式の結果が更新されず、古い数値のまま資料を作ってしまいます。
この設定は同時に開いている他のブックにも反映されるため、作業後は必ず「自動」に戻します。

数式の負担を減らすには、使っている関数がどのように範囲を数えているかを知っておくと役立ちます。
重複チェックで使ったCOUNTIF関数の基本的な書き方や範囲の指定方法は、次の記事で紹介しています。

Excelが重い原因③|画像や外部リンクでファイルサイズが大きい

3つ目の原因は、画像や外部ファイルへのリンクなど、データ以外の要素でファイルサイズが大きくなっているケースです。
特にスマートフォンで撮影した写真は、1枚で数MBになることがあります。
開くときや保存するときに時間がかかる場合は、この原因を優先して確認します。

画像を圧縮してファイルサイズを小さくする例

商品の写真を20枚貼り付けたカタログで考えてみます。
写真1枚あたりのサイズと、圧縮した場合の目安を表にまとめました。

ABC
1項目圧縮前圧縮後
2写真1枚のサイズ(KB)2500150
3写真の枚数2020
4合計サイズ(KB)

B4に次の数式を入力し、C4にもコピーします。

=B2*B3

B4には50000、C4には3000と表示されます。
写真の合計サイズが、圧縮前の約50MBから約3MBに減る目安を求めた計算です。

画像を1枚選択し、「図の形式」タブの「図の圧縮」をクリックします。
「この画像だけに適用する」のチェックを外すと、ブック内の画像がまとめて対象になります。
解像度で「電子メール用」や「Web」を選び、OKをクリックします。

画面で確認する用途であれば、この解像度でも見た目の差はほとんど気にならないと考えられます。

外部リンクの数式が開く動作を重くする例

次の表では、別のブックの集計値を参照しています。

AB
1項目金額
2前年売上

B2に次の数式が入っているとします。

='[売上2025.xlsx]集計’!$B$2

B2には1250000と表示されます。
「売上2025.xlsx」の「集計」シートにあるB2の値を読み込んでいる数式です。

このような外部リンクがあると、ファイルを開くたびに参照先のブックを探しに行くため、動作が遅くなります。
参照先を移動したり削除したりしていると、見つからないブックを探し続けて、さらに時間がかかります。

「データ」タブの「リンクの編集」を開き、「リンクの解除」を選びます。
バージョンによっては、「リンクの編集」が「ブックのリンク」という名前で表示されます。
解除すると、B2の数式が1250000という数値に置き換わります。

見えないオブジェクトを探してファイルサイズを減らす手順

Webページの表をコピーして貼り付けると、目に見えない小さな図形が一緒に取り込まれることがあります。
「ホーム」タブの「検索と選択」から「選択ウィンドウ」を開くと、シート内の図形や画像が一覧で表示されます。
身に覚えのない図形が大量に並んでいれば、まとめて選んで削除します。

実務では、画像をたくさん使う資料と計算用のデータを、別々のブックに分けると管理しやすくなります。
写真が必要な場合も、あらかじめ画像を縮小してから貼り付けるとファイルサイズの増加を防げます。

初心者がつまずきやすいのは、画像を縮小表示すればファイルサイズも小さくなると考える点です。
画像の角をドラッグして小さく見せても、元の画像データはそのまま残っています。
トリミングした画像も同様なので、「図の圧縮」で「図のトリミング部分を削除する」にチェックを入れて処理します。

Excelが重いときの対処法まとめ|原因を切り分ければ動作は軽くできる

Excelが重くなる原因は、書式、数式、画像や外部リンクの3つに分けて考えると整理しやすくなります。
パソコンの性能を疑う前に、ファイルの中に負担がたまっていないかを確認するのが基本です。
順番に見ていけば、初心者の方でも原因を絞り込めます。

まず、「ファイル」タブの「情報」でファイルサイズを確認し、Ctrl+Endキーで最終セルの位置を見ます。
最終セルがデータの範囲より大きく離れていれば、不要な行や列を削除して上書き保存します。
条件付き書式の「ルールの管理」も開き、同じルールが細かく分かれて増えていないかを確認します。

入力のたびに固まる場合は、計算方法を一時的に手動へ切り替えて、動作が変わるかを試します。
軽くなれば、数式の再計算が原因です。
確認が終わった数式は値に置き換え、揮発性関数や列全体の参照を見直すと負担を減らせます。

開くときや保存するときに遅い場合は、画像と外部リンクを確認します。
「図の圧縮」で画像の解像度を下げ、「リンクの編集」から不要な外部リンクを解除します。
選択ウィンドウで、見えない図形が残っていないかもあわせて確認すると安心です。

一度軽くしたファイルでも、使い続けるうちに再び重くなることがあります。
書式は必要な範囲だけに設定し、計算用のデータと画像の多い資料は分けて管理するのがおすすめです。
こうした習慣を続けることで、快適に作業できる状態を保ちやすくなると考えられます。

ファイルを軽く保つには、Excelの機能を目的に合わせて使い分けることも大切です。Excelでできることを一覧で把握しておくと、重くならない表の作り方を選びやすくなります。